自転車で(古キョン古)






西日を真っ向に受けて走る俺の視界は、ハルヒのイメージカラーにぴったりといってもいいくらいの 派手なオレンジで染め上げられていた。建物までもがそれに飲み込まれていてよく見えない。
不思議と眩しくも熱くもなく、圧倒されるほどのオレンジだというのに、それは奇妙に静かだった。
俺は両の足でペダルを踏み締め、自転車をこぎ続ける。
夕方の西日はそんな俺をおいて、セピアがかるオレンジに褪せていた。
いつの間にか。
いつの間にか側に居るその色をみつめても、辺りには穏やかな涼しさしか感じなかった。
俺は自転車をとめ、奴が来るのを待つことにする。一時後の「お待たせしました」。
俺はあの色を思いだしていた。






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2007.07.07